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図4.2.3にその結果を示す。この測定は、接触抵抗を液体ヘリウム温度だけでなく、室温から連続的に温度の関数として測定し、温度依存性を解明したところが目新しい。すなわち、通常のNbTi超電導線材あるいは界面接合を起こしてしまったNb3Snの場合は金属性の接触抵抗を示し、その抵抗値は温度と共に低下する。
これに反して、熱処理後に作ったNb3Snの接触点のように表面が酸化銅でおおわれた場合は、半導体性の接触抵抗となり、温度と共に抵抗値は増加する。
今回作製したクロムメッキ付きのNb3Sn超電導線材の場合、抵抗値は高いにもかかわらず、抵抗は温度と共に下がる傾向を見せ金属性が保たれていることがわかる。
このような接触抵抗の挙動は学術上の成果として有意義であるとともに今回製作のNb3Sn超電導線材の実用上の可能性を示すものである。
3)巻き線試験
平成7年度に製作した超電導コイル巻き線機に超電導ケーブルをセットして、巻き線試験を行った。5軸の巻き線機をコンピュータ制御するためのソフトウェア開発が課題であるが、現在までに基本的な駆動ルーティンが出来上がり、5軸の同時駆動が可能になっている。
ルーティンの組み合わせによりファイルから読み込んだ動作を行うことが出来るが、実際の巻き線に用いるには、エラー検出や誤操作に対する保護ルーティンの整備などが必要である。写真4.2.5に巻き線作業中の線材の様子を示すが、計画している四重極磁石用実験用超電導コイルの巻き線の場合、図4.2.4に示すような工程を踏む必要がある。

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図4.2.3素線の接触抵抗測定結果

 

 

 

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